モンステラ愛好家の間で、宝石のように扱われる変異(ミューテーション/mutation/斑入りを含む)株。 NoID(名無し)やSeeding(実生)として流通しています。
私は「変異が出る確率は0.6%」という説明をすることが多いですが、これは大規模に組織培養をやっている人から聞いた数値で、タイコンステレーションの組織培養から通常とは違うタイプのタイコンステレーションがでる確率として聞きました。
0.6%ということは1/167という確率です。
その正体を深掘り、考察してみます。
以下の内容は動画でもご紹介しました!
そもそも「変異」ってなに?
モンステラにおける変異とは、形の変化と色の変化(斑入り)が中心です。
斑(ふ)入りとは 通常は緑色の葉の一部が、白や黄色、薄緑、ミントになる現象です。アルボ、オーレア、グリーンオングリーン、ミントなどと呼ばれています。斑入りの仕組みは葉緑素緑の成分が突然作られなくなる「遺伝子のコピーミス」です。
形の変化とは、縮れ・うねり、矮性(ドワーフ)、穴の数や位置の異常が中心です。
変異の定義はとても難しい
「変異」という言葉の定義は、園芸の世界では非常に幅広く、かつ曖昧に使われているため、正しく理解するのは本当に難しいです。
大きく分けて、以下の3つの視点があるようです。
1. 遺伝的な「突然変異」
これが本来の「変異」の意味に最も近いです。
- 内容: 植物の設計図(DNA)そのものが書き換わること。
- 特徴: 成長しても、あるいは挿し木で増やしても、その特徴が引き継がれやすいです。
- 例: 「タイコンステレーション」のように、散り斑が入る遺伝子が固定されたもの。
2. 環境による「一時的な変化」
これは厳密には「変異」ではありませんが、見た目では区別がつきにくいものです。
- 内容: 肥料の効き具合、光の強さ、温度などの環境ストレスで、一時的に葉の形や色が変わること。
- 特徴: 環境を元に戻すと、次に生えてくる葉は普通の緑に戻ってしまいます。
3. 組織培養における「ソマクローナル変異」
培養の過程で、親株とは違う特徴を持って生まれてくるケースです。
- 内容: ラボでの細胞分裂のスピードが速すぎて、設計図のコピーミスが起きた状態です。
- 特徴: 非常に美しい斑が出ることもあれば、逆に形が崩れてしまう(奇形)こともあります。
なぜ定義が難しいのか?(推測です)
それは、「見た目が変わった理由が、DNAのせいか環境のせいか、見ただけでは100%判断できないから」です。数年育ててみて「斑が消えないか」「次世代にも引き継がれるか」を確認して初めて、それが本当の「変異(固定された品種)」だと確信できるレベルです。
この記事では形の変化と色の変化(斑入り)をあわせ、また特徴が継続するもの、株分けしても継承するモンステラを『変異』として捉えます。
モンステラの変異の確率が『0.6%』は本当か?
結論から言うと、この数字に科学的な確証はありません。
- 自然界ではもっと低い: 一般的な植物の突然変異は、数万分の一(0.01%以下)とも言われます。
- なぜ「0.6%」と言われるのか: 特定の組織培養(ラボ)の現場で「1000株育てたら6株くらいに変化が見られた」といった経験則を参考数値にしている。
- YouTubeで200粒のモンステラを播種した方が、1株ミント斑のモンステラが生まれていた(継続不明)
- モンステラ生産者さんはもっと少ないという意見を聞きました
モンステラの変異に関する考察において、私は変異が発生しうる最大公約数的な参考数値として「0.6%」という指標を採用しています。
少し細長い葉のデリシオーサ、少し斑が多いタイコンステレーションなど、どこまでを変異として扱うのかで、大きく確率が変わると考えています。
また、『組織培養苗を数千株仕入れて育てたけど、変異の確率は●%でした』という説明を聞いたこともありますが、その組織培養苗が間引かれていない状態、つまり変異株を除去してパッケージしている可能性があるため、参考にならないと考えています。
組織培養(TC)と変異の関係
最近、斑入りモンステラが以前より手に入りやすくなったのは、組織培養技術のおかげです。
- 変異が起きやすい理由: ラボでは成長ホルモンなどの刺激を与えるため、自然界よりも遺伝子のミス(変異)が起きやすい環境になります。
- 安定した変異: 「タイコンステレーション」のように、変異した遺伝子を固定して100%に近い確率で斑が出るようにしたものもあります。
ではなぜ『0.6%』の確率で考えるのか?
繰り返しになりますが、モンステラの変異に関する考察において、私は変異が発生しうる最大公約数的な参考数値として「0.6%」という指標を採用しています。
簡単にいうと、考察するために採用しているだけです。
高く見積もっても0.6%の確率で『さまざまな変異』がでる可能性だけ。その変異は斑入りかもしれないし、形の変化かもしれない。斑入りでも白斑なのか黄斑なのかミント斑なのかはわからない。ちなみに変異が出る確率も出やすい変異と、出にくい変異があるそうです。
つまり同じ変異が同じタイミングで出てくる可能性は0.6%で考えても著しく低い。
ということが知りたいだけです。
同じ変異が市場に同じタイミングで出た場合に、「おかしいな」と考えられるために、参考数値を設定しています。
いまは変異(ミューテーション)が人気があるからか、日本では矮化剤(他も?)を使った一時的な変異のモンステラが増えてきています。バールマルクスフレイム、普通のデリシオーサ(丸葉など)、タイコンステレーションなどなど。
矮化剤を利用して変異されているモンステラには以下の特徴があります。
- 節間が異常に詰まっている
- 葉柄が短い
- 葉が縮んでいる
- 斑もブレる?
見た目だけで見極める自信がないので、参考数値をもとに目ではなく論理的に『おかしい』を察知して、意図しない『変異』の購入を避けたいなと考えています。
モンステラの変異(ミューテーション)を選ぶときの注意点
私がモンステラの変異株(ミューテーション)を選ぶときに注意している点をご紹介します。
- 継続している(小さい葉から特徴がでている、一番新しい葉に特徴がでている)
- 同じ変異が同じサイズで同じタイミングで市場にでまわっていない
- ある程度成長している状態で特徴がでている
- 珍しすぎる特徴ではない
『ある程度成長している状態特徴がでている』というのは、幼苗のときには生育不良や環境により変わった葉がでやすい。株の体力がつくと安定しはじめるので、特徴が消えていくことが多いと考えています。上記でいう『 環境による「一時的な変化」』のこと。
『珍しすぎる特徴ではない』というのは、変異株でもある程度系統があるのではないかと考えています。見たこともないような変異も『 環境による「一時的な変化」』や人工的に変異させられた可能性を疑うようにしています。
やはりモンステラの変異(ミューテーション)は魅力的
そういう問題を抱えながらもモンステラの変異(ミューテーション)をお迎えしてしまう理由は、ネームドとはまた違うオリジナル性と成長が予想できない楽しみがあること。
モンステラの変異(ミューテーション)でも多くの人が魅力を感じるものはネーミングされて多く流通します。ネーミングされていないということは、まだでてきたばかりなのか、一部の人だけが価値を感じているからでしょうか。
モンステラの変異(ミューテーション)は『みんなが好き』ではなく『私が好き』を満たしてくれるのかなと考えています。
私は強い変異ではない、少し変わっているようなモンステラも好きで集めています。
少し細い、穴が大きい、葉の形が少し違う、耳の形が違うなどなど。どれも魅力を感じます。
変異が強い=価値があるではないのがモンステラの変異(ミューテーション)の世界。
自分の好きな一株を探すのも、モンステラを育てる楽しみの一つだと考えています。



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