ビカクシダを集めていくうちに気になりだす『胞子培養』、種子じゃなくて胞子?培養って何?と難しそうな雰囲気ですよね。
種類にもよりますが胞子自体は数百円から手に入り、大きくなるまで時間はかかりますが、その分愛着も湧きそう!特にレア品種で板付された個体が数万以上しているものでも、胞子なら手が出せる価格帯であるのも魅力!
とりあえずやってみよう!ということで、手探りながらもいろんな先輩方の動画などを参考に胞子培養を始めて見ました!
その方法と手順、準備(必要な物)、管理方法などをまとめましたので、どなたかの参考になれば幸いです。
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ビカクシダ 胞子培養の始め方
ビカクシダ 胞子培養の流れ
- 胞子を入手する ※7〜10日程度乾燥させる
- 胞子を蒔く土(または水苔)の準備
- 容器に準備した土(または水苔)を入れる
- (胞子が胞子葉に付いているままの場合)胞子を取る
- 茶こし(粉ふるい)で胞子をふるい、余計な物・ゴミを取り除く
- 胞子を蒔く
- (お好みで)ベンレート水和剤を軽くスプレーで吹きかける
- 容器の蓋(またはラップ)を閉めて完了
- その後のケア
- 基本は放置
- 光と温度を管理
ビカクシダの胞子培養に使ったもの
- 胞子(すでに粉末状になっているもの、胞子葉丸ごとなど)
- 土(ジフィーセブン等)または水苔:胞子を蒔く土台
- 蓋付きプラカップ、またはタッパー:胞子を育てる容器
- 茶こしなどの粉ふるい:ゴミを取り除く&胞子を蒔く時に使用
- スプーン、ボウルなど:乾燥した土(ジフィーセブン)や水苔をもどす時に使用
- 熱湯:土(ジフィーセブン)や水苔をもどす&除菌
- 紙:胞子の置き場
- (容器がタッパーの場合)ラップと輪ゴム:タッパーのフタは使用せずラップで閉じる
- (胞子葉の場合)ヘラ:胞子葉から胞子を削ぎ落とす時に使用
- (胞子葉の場合・あると便利)ポリエチレン手袋:胞子葉から胞子を削ぎ落とす時に使用
- (お好みで)ベンレート水和剤:防カビ、カビ退治
- (あると便利)除菌ウエットティッシュ
容器や道具は100均で揃います!私はダイソーで購入しました。
胞子を置く紙は、衛生的に念には念をで封がしてある「おりがみ」を使用しました。
ふるいは、お菓子作り用のものを購入しましたが、底が丸くなっている茶こしの方がおすすめです。というか買い直しました・・・胞子を蒔く時に、茶こしの方が蒔きやすいです。お菓子用の物は底が平たく広いので胞子を蒔く範囲が広範囲になり、あちこちにばら撒いてしまいました。茶こしは底が丸く、範囲がまとまるので蒔きやすいです。
胞子培養をする容器については、タッパー(10cm×15cm程度)か蓋付きプラスチックカップ(大)を使用しています。画像にあるタッパーは水切りが付いているタイプですが、通常のタッパーでも全く問題ないです。
ビカクシダの胞子を手に入れよう!
主な入手先は下記のような感じだと思います。
- メルカリやYahoo!フリマ、ヤフオクなど
- ショップのオンラインストア(実店舗での取り扱いはあまり見たことがない)
- 植物のイベントやフェスなど
- 自身や知人が育てたビカクシダの胞子をもらう
購入する胞子を探すにあたって意識しておいた方が良いと思った点
- 鮮度
- 出品者やショップの評価やレビュー
品種によっても発芽までの時間の差はありますが、ざっくりいろんな出品者さんから購入して胞子培養をやってみた結果、明らかに『採れたて』の胞子の発芽が早かったです。採取日不明だった胞子では、環境条件は同じであるのに発芽しなかったものもあります・・・。胞子葉を購入して自分で胞子を採取したものがダントツで発芽率が高かったです!
鮮度と言っても難しいですが、極力商品説明などに採取した日付が書いてあるものを選ぶのがおすすめ。私は採取日から日が浅いものを選んでいます。購入後(発送直前)に胞子を採取してくれる出品者さんもいるので、出品情報(商品詳細)をよく読んで選ぼう!
新鮮な胞子は採取後7〜10日程度乾燥させると良いと言われています。採れたての場合や、時期が不明な場合は念のため乾燥させてから蒔くことをおすすめします!
また、オンラインで買い物をする際の基本ですが、胞子を購入する際もしっかり出品者やお店の評価・レビューはしっかりチェックしました!フリマアプリでは受け取った瞬間に評価となってしまうため見極めは難しいですが・・・。品種の違う胞子が送られてきた(ある程度育ててから気づく 泣)や、出品者の性格などが状態の良し悪しにも影響が出るかもしれません。
ビカクシダの胞子の準備をしよう!
新鮮な胞子は採取後7〜10日程度乾燥させると良いと言われています。乾いた紙に包んで乾燥をさせてから蒔きます。
胞子葉の場合
胞子を削り取る→ふるいにかけて胞子を包んでいた胞子嚢を取り除く→蒔く
削り取る時、胞子が飛び散ります!敷く紙は大きめ、トレー、エンボス手袋があると便利です!
私は100均で購入したハイカーボン入りへラを使用して削りましたが、カッターの歯や彫刻刀などで削り取っている方もいました!ヘラは便利ですが他に用途がないので、カッターの歯などがお手軽ですね!
胞子を削り取ると、胞子の粒の他に薄茶っぽい(白っぽい)ワタのようなものが取れます。このワタ(胞子嚢)を茶こしなどのふるいを使って取り除きます。下記『胞子の状態の場合』に続く
胞子の状態の場合
ふるいにかけて胞子を包んでいた胞子嚢やゴミを取り除く→蒔く
茶こしなどのふるいを使って胞子以外の余計なものを取り除きます。
受け皿となる紙2枚を交互に使いながら3〜5回くらいふるいます。この時、やればやるほどワタ(胞子嚢)と一緒に少量の胞子もロストすることになり、もったいない・・・とふるいを甘くしてしまったのが右の画像です笑。
ワタ(胞子嚢)が残っていると大敵であるカビの原因になると言われています。
ですが、あえてワタ(胞子嚢)ごと蒔いている方もいらしたので、そこは個人の好みで・・・ただ、取り除いた方が安心かと思います。
ちなみに画像の少しワタ(胞子嚢)が残っている状態で蒔いた結果、うっすらカビらしきフワッとした糸状のものが見えたので、早めにベンレートを吹きかけ→その「糸状のもの」は消失、。その後、カビは生えませんでしたが、乾燥したクズが発芽のスペースをとり邪魔していました。このクズがワタ(胞子嚢)かどうかはわかりませんが、ちゃんとふるいをした他の胞子には現れていません。。。
胞子を乾燥させよう!
乾いた紙に胞子を包んで、7〜10日程度保管します。
乾燥させているので水回りや湿度の高いところでの保管は避け、楽しみに待ちます!
ビカクシダの胞子を蒔く土台の準備をしよう!
私が使っているのは、『そのまま植えられる土ポット ジフィーセブン』です。ジフィーセブンの他に、『こまかいタネがまける土 ピートバン』を使っている先輩方もいました。どちらもサカタのタネさんの商品です。土ではなく水苔派の方々もいらっしゃいます。ただ、初心者の場合は、まず土から始めてみるのが分かりやすいかなぁと思います!
熱湯を使用するので、土や水苔を冷ます必要があるため一番最初にやっておくのがおすすめ!
はじめに・・・胞子培養の最大の敵は、カビです。密封、高湿度管理なので、菌が混入してしまうとあっという間にカビにのまれてしまいます。容器や使用する道具はアルコール除菌ティッシュなどでこまめに拭いたり、熱湯消毒をしました。心配な場合は最初に容器にベンレートを噴射しておくのもありです!
必要な分のジフィーセブンを耐熱の容器に入れて熱湯をかけます。
タッパーを使用する場合は耐熱なら、画像のように直接でOKですが、耐熱ではない場合・プラカップの場合は一度別の耐熱容器(私はボウルを使っています)で、土をもどしてから培養する容器に入れます。
私はだいたい画像にあるサイズのタッパーと、フタ付きプラスチックカップ(大・直径10cm)を使います。
画像のタッパー(10cm×15cm)で3個使用しました。
フタ付きプラスチックカップ(大・直径10cm)の場合は2個使用しています。
熱湯が冷めてきたら、含んだ水を軽く絞りつつジフィーセブンに巻いてある紙を取って、平にならします。水分は多めの方が良いので絞りすぎないように!
別の耐熱容器でもどした場合も同様、胞子培養に使う容器に土を入れてならします。
土をならす時、柔らかすぎると後に表面が凸凹したりコロコロした塊ができたりして、胞子が均一に成長しづらくなるので、少し硬めにならしておきます。
水苔を使用する場合も同様に、乾燥している水苔を熱湯で戻す→冷めてきたら容器に。水苔をもどす際の熱湯に関しては、殺菌はされるが栄養も壊してしまう・・・ということで水でもどす派の方もいらっしゃいます!どちらにするかはお好みで!
これで土台の準備は完了です!
ビカクシダの胞子を蒔こう!
いよいよ大本番!胞子を蒔きます!と言っても本当に「蒔くだけ」です。
先輩方の動画などを見ていると、いろいろな蒔き方がありました。
- 筆で丁寧に胞子を置く
- 茶こしでふるいながら蒔く
- 手で摘んで粉調味料をかけるように蒔く
- 包んでいた紙をそのまま使って蒔く
貧乏性な私は、筆の毛の中に胞子が入り込んでしまったらもったいないのでは?と思い、茶こしと手の2パターンを試しました。
- 茶こしの場合:いっぺんに蒔けて便利だけど、四隅が蒔きずらい&ドカっと出てしまうことがある(特に一番最初)
- 手の場合:胞子が潰れたりしないかな?と不安はあるけど、自由度が高い&簡単に蒔ける
ということで、結果、手でまくスタイルに落ち着きました!(ズボラタイプの個人の感想です)
容器内のスペースをきっちり無駄なく使うには、間違いなく筆が最適でしょう!
お好みで・・・ベンレート水和剤を軽くスプレーで吹きかける
胞子蒔きの仕上げにベンレート水和剤をスプレーしておくと、カビ予防になります。
なぜ「お好みで」と記載したかというと、ベンレートは農薬だからです。
希釈を守って正しく使用すれば問題ないと思います。実際、私も予防で使用したり、予防しなかったものにカビが発生した場合に使用しましたが、問題なく発芽・成長しています。
ただ「農薬」という響きがなんだか怖くて、なるべくなら使いたくないな〜という思いがありました。
というのと、希釈が難しい!!ベンレート1袋丸ごと作ると大量に作る羽目に・・・しかも日持ちしないんです。
1袋丸ごと使い切らず、小量だけ測って取って作るのも面倒なんですよね・・・(ズボラ)とはいえ、そんなに大量にはいらないので適当な感覚で1袋の半分を使って作っています。
などなど・・・カビが発生してからの使用でも問題はなかったので(手遅れになる前の対処)、無理して予防に使用しなくてもいいかもしれません。ということでお好みでどうぞ!ベンレートを予防に使わない場合は作業中の消毒・滅菌、衛生管理を徹底しました!
いざカビが発生した時にすぐ対処したいところなので、事前に購入しておくと良いかもです!
容器の蓋を閉めよう!
最終段階です!容器の蓋を閉じれば完了!
- タッパーはラップをして輪ゴムでとめる
- プラカップは付属の蓋で閉める(ラップでもOK)
タッパーの場合、なぜラップにするかというと、タッパー&蓋って半透明が多いですよね。これだと光を通しにくいんです。なのでラップで代用して透明度を高めます。
プラカップは、透明なものが一般的でクリアに光を届けてくれます。なのでプラカップは付属の蓋をそのまま使用してOK!
タッパーでも画像(下の段の真ん中)のような蓋がクリアなものもありますよね!これくらいなら無事発芽しました!が、この蓋のようにフレームがある場合、フレーム部分の下は発芽率が低かったです。光は重要です!
その後のケア・管理方法
基本的に・・・放置です。ただ、光と温度には気をつけています!
管理環境もさまざまですが、ひとつの例として参考になれば・・・ということで我が家の育成環境をご紹介します。
これだけです!!
温度が下がりすぎないように、ダイソーで購入した透明度の高い収納ケースの中にいれて外からライトで光を当てています。IKEAのライトスタンドに育成ライトを付けています。
もっとしっかりした保温のケースや、光が漏れない箱&中にライトを入れて完全に閉じている方もいらっしゃいました!その方が成長が早いかもしれませんが、この簡易的な環境でも発芽して育っているので、お部屋のスペースの問題や、手軽にやってみたい方は参考にしていただければ幸いです!
育成環境
- 管理環境の温度:最低15℃、25〜26℃程度が理想
- 光の明るさ:2000〜7000ルクス程度、ライトとの距離が近すぎ・強すぎは避けたほうが良いです。
- 直射日光は避ける:葉焼けしたり灼熱で煮立っちゃったり・・・
- LEDライトを10〜12時間程度あてる:育成ライトではなくても大丈夫です!
明るさって・・・と言われても測定するには照度計が必要ですよね。わざわざ買うっていうのも・・・ですよね。無駄にいろんな場所を計測したりするのも楽しいのですが、ざっくり・・・部屋の照明だけでは物足りないかもしれません。プラスでライトをあてることをおすすめします!
その後、気になる成長は・・・
実際に胞子培養をしているビカクシダの育成記録をまとめていますので、ぜひぜひ見てやってください!
ビカクシダの胞子培養の他にも、塊根植物の実生(種から育てる)チャレンジもやっています!
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